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風の通り道 path of the wind

富士宮駅前の「GALLERY ARATA」にて、個展「風の通り道 Path of the wind」を開催した。今回の個展では、近年私の作品テーマである「振動」に着目した作品を展示した。これまでの過去作や新作を交え、参考となった書籍のリサーチテーブルを用意し、鑑賞者と共に「振動」について考察する展覧会である。また、オープニングパーティーでは、「振動」を考察する導入として、世界初のシンセサイザー「テルミン」の演奏会と体験会を開催した。テルミンは音程をふたつのアンテナに手を近づけたり遠ざけたりすることで、音の高低差や音程を調節する、手の一ミリの動きで音程が変わる音を身体で音を可視化する楽器だ。体験者は、音程の差や高低差を身体で表現することで、「振動」の繊細さを体感した。

今回のテーマである「振動」について考察し、制作した作品が、「occhiolino」である。この作品は、身体の細胞の振動を捉え可視化する、バイオレゾナンス医療の研究を行う、青木医師に影響を受け制作した。彼は、ゼロサーチという身体の細胞の周波数を測り診察を行う。診察で使用する色や形を組み合わせた、物質の周波数を可視化したピースの、幾何学文様をモチーフに制作した。今回、過去第一作目に加え、4つのパターンを制作した。

その後「occhiolino」をきっかけに、振動が医療や漁業、工業など様々な場面で応用されている事の考察を通し、「Summ,summ,summ」花にミツバチの羽の振動音を聞かせる作品を製作する。鏡の展示代の上に整列された花々に、イヤホンジャック越しに日本ミツバチの羽の振動音を聞かせている。イヤホンコードの中間には、日本ミツバチの巣が吊るされており、近づくと蜜蝋の香りや日本ミツバチの羽の音が聞こえてくる。この巣は元々日本ミツバチが生息していたものだが、農薬被害や様々な障害によって日本ミツバチが住まわなくなってしまった巣である。日本ミツバチは、セイヨウミツバチと違い、完全野生のミツバチであり、日本の農業を支える存在である。その日本ミツバチが近年劇的に減少しており、問題になっている。鑑賞者は、花や日本ミツバチの巣、日本ミツバチの羽の振動音を展示された鏡の台越しに、私達の姿を観て、日本の農業や日本蜜蜂などを考察する作品となっている。

また、今回個展のために制作した「ふるう紙」は、富士にある紙バンド工場にインスピレーションを受け製作した作品だ。素材には、紙バンド工場で不良品となった紙バンドを使用しており、紙バンド工場の忙しなく動く工場の音と動作をモチーフに製作した。ギャラリーを入ってすぐ、空中に波を打つように紙バンドが吊るされており、鑑賞者は最初にこの作品の下をくぐり、会場を鑑賞する。入り口から風が吹き、人が会場内を移動するこで、紙バンドが揺れるようになっている。夜になると富士宮の街道から中の様子がよく鑑賞でき、今回の展覧会の顔として展示した。

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